IAIS保険事業デジタルテクノロジー利用増大と消費者アウトカムへの潜在的影響に係る文書案に意見提出
(2018.9.3)

イノベーションの利益とリスクのバランス、規制裁定排除を支持

 日本損害保険協会(会長:西澤 敬二)では、保険監督者国際機構(IAIS)(※1)が公表した「保険事業におけるデジタルテクノロジー利用の増大および消費者アウトカムへの潜在的影響に係るイシューズ・ペーパー(※2)案」に対する意見を8月29日に提出しました。

 本文書は、保険におけるデジタル技術利用増加の影響を検討することを目的に主に次の内容をまとめたもので、8月1日から8月30日まで市中協議(パブリック・コメント)に付されました。

<文書の主な内容>

  • 保険におけるデジタル技術利用増加の影響を検討することを目的とした文書。
  • デジタル化は消費者に利益をもたらし得る一方で、(ICP19の業務行為要件に反して)公正な消費者アウトカムに影響するリスクを生じさせる可能性もある。
  • デジタル化が商品設計とアンダーライティングに及ぼす影響、これら商品のマーケティング、販売、募集に与える影響(ロボアドバイスと価格比較ウェブサイト)、監督者が直面する課題を検討。
  • 監督者はイノベーションのリスクと、保険契約者および保険セクターの利益とのバランスを取る必要があると指摘。
  • 監督者に@イノベーションに対する徹底的理解醸成、Aデジタル化された保険会社監督のための新たなツールとスキル開発、B顧客の公正な扱い保護、規制裁定防止のための監督上の権限範囲維持、新技術の適切で責任ある利用を目的としたガイドライン策定の検討を提案。

 当協会では、本文書が指摘するとおり、消費者保護や顧客に対する公正な対応を確保するうえでデジタル技術の活用はリスクだけでなく解決策や助けにもなり得るため、「バランスを適切にとるべき」旨明記すること、規制上の裁定(アービトラージ)排除はデジタルテクノロジーの保険事業における活用において特に重要な課題であり、本文書の記述内容を支持することを表明しました。

保険監督者国際機構(IAIS)「保険事業におけるデジタルテクノロジー利用の増大および消費者アウトカムへの潜在的影響に係る市中協議文書」に対する損保協会意見

<当協会意見概要>

  • 監督者が「リスクを管理」するとの記載は、趣旨が不明確で監督者が直接的に保険会社のリスクを管理するとの誤解を招く恐れがあるため削除すべき。
  • 比較サイトに掲載される情報は、開示手法や情報の適切性、顧客の理解度により顧客に利益と影響の両面をもたらす可能性を踏まえ、顧客が不適切な商品を購入するリスクの記述を支持。
  • 「価格比較ウェブサイトが特定市場でシステミックな問題を引き起こす可能性がある」との記載について、「システミックな問題」の意味を明確化してほしい。
  • 「規制上のアービトラージ排除はデジタルテクノロジーの保険事業における活用において特に重要な課題であり、記述内容を支持。また、デジタルテクノロジーの持つ国境を越えやすいという性質に鑑み、管轄区域の(Jurisdictional)アービトラージに言及することを支持。

 IAISは、今回の市中協議に寄せられた意見を参考にさらなる検討を進め、年内を目途に内容を固める予定です。

 当協会は、IAISにおける国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しており、今後も関係国際機関等に対して本邦業界の意見を表明していきます。

(※1)保険監督者国際機構(IAIS)の概要

1994年に設立され、世界約150カ国・地域の保険監督当局(メンバー)で構成。主な活動は以下のとおり。

  • 1)保険監督当局間の協力の促進
  • 2)保険監督・規制に関する国際基準の策定および導入促進
  • 3)メンバー国への教育訓練の実施
  • 4)金融セクターの他業種の規制者等との協力

※日本からはメンバーとして金融庁が参加しており、当協会もステークホルダーとして積極的に関与する方針を掲げている。

(※2)イシューズ・ペーパー

IAISが作成する文書の一類型。扱うトピックの背景や現在行われている取組み、ケーススタディ等を提供し、規制・監督上の論点・課題を特定することを意図としている。説明を提供することが目的であり、監督者がその内容を実施することは期待されていない。ただし、基準策定に向けた準備として作成されることが多く、IAISによる今後の作業に関する推奨を含む場合がある。

本市中協議文書(原文)は、こちら(※) でご覧いただけます。

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